2020年春ドラマ「半沢直樹Ⅱ」の原作である半沢直樹シリーズ第4弾「銀翼のイカロス」の内容を相関図化して分かりやすくまとめました。
ネタバレを含みますので、ドラマ、原作小説をまっさらな気持ちで楽しみたい方は引き返してください。
半沢直樹第4弾『銀翼のイカロス』を相関図化して解説!
半沢直樹シリーズ第4弾「銀翼のイカロス」は第2弾「オレたち花のバブル組」にて不正を暴いたものの子会社である東京セントラル証券へ出向を言い渡された半沢直樹が第3弾「ロスジェネの逆襲」にて功績をあげて東京中央銀行に戻ってき、営業第二部次長として活躍しているところです。
ストーリーは、本来営業部の仕事ではない、破綻寸前となっている帝国航空の企業再建を任されるところから始まります。
登場人物
東京中央銀行
半沢直樹……営業第二部次長。帝国航空の企業再建を任される。
田島春……営業第二部調査役。帝国航空再建のために異動となり半沢の部下となる。
曽根崎雄也…‥審査部次長。本来自分の案件であった帝国航空再建を半沢に取られたため恨みに思っている。
木元平八……常務。曽根崎の上司にあたり、半沢を目の敵にしている。
灰谷英二……法人部部長代理。木元常務直属の部下。
中野渡謙……頭取。行内融和を最優先にしており、バランス感覚が優れている。
富岡義則……検査部部長代理。中野渡直属の検査部隊で、半沢の元上司。
進政党
政権交代によって与党になった政党。
箕部啓治……元憲民党(当時与党)の政治家。進政党立ち上げのひとりで重鎮。
白井亜希子……国土交通大臣。元アナウンサーの女性議員。
帝国航空再生タスクフォース
白井亜希子大臣が帝国航空再建のために私設に立ち上げた機関。
乃原正太……弁護士。数々の企業を再生してきた実績を持つ。
帝国航空
山久登……財務部長。
開発投資銀行
政府系金融機関
谷川幸代……金融部次長。帝国航空の担当者。
序章……政権交代
曽根崎から破綻寸前であった帝国航空再生に関する業務を引き継いだ半沢。
半沢が強く押していたリストラ案がやっとのことで帝国航空に受け入れられたと思ったその時、憲民党から進政党へと政権交代が起こります。
この政権交代によって新たに誕生した国土交通大臣・白井は憲民党時代の帝国航空再建案を白紙にし、新たにタスクフォースを立ち上げます。このタスクフォースは前政権を否定したいという白井大臣の勇み足でもありました。
解説ポイント
タスクフォースとは、適任者や専門家を招集し、緊急性の高い経営課題を解決するためのチームです。プロジェクトチームとも呼びます。
元々は軍事用語として使われていました。
タスクフォースのリーダーに任命された乃原は、スピード再生を掲げ、現在銀行が融資している金額の 7割を債権放棄 するように要求。
もちろん半沢はその命令を拒否します。
解説ポイント
タスクフォースは白井大臣の私設機関であるため、法的根拠が無い。だから半沢たち銀行はその要求を拒否することができるわけです
金融庁調査
債権放棄を拒否し続ける半沢ですが、銀行内のトップ・木元常務は放棄をするように圧力をかけてきます。
解説ポイント
木元が債権放棄を推奨する理由は後で明らかになります
そんな時に、金融庁調査が入ります。調査員は半沢の天敵である黒崎です。
金融庁の調査は、債権を放棄しようとしない半沢に対する、進政党・箕部からの圧力でした。
その調査にて、東京中央銀行が再建案として提出した人員削減5千人という数字が、帝国航空の正式発表では3千5百人となっていたことが判明。
弁解しようの無いミスに半沢が答えられずにいると、その書類を作成した当時の責任者・曽根崎がそれは 「帝国航空のミスであり謝罪されています」 と説明。
この説明によって銀行の瑕疵はないとされ、危機を回避した曽根崎の株が上がります。
ただし!この曽根崎の説明はまったくの嘘でした。しかも、帝国航空の担当者である山久に口裏を合わせることなく嘘を付いたので、その後嘘が判明!
曽根崎は出向 となります。
ここから先は重要なネタバレを含みますので、ドラマを読んでいない人は読んでから開くことをオススメします。
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木元常務と箕部代議士の関係
曽根崎の嘘により、上司であった木元常務の信頼も失墜します。それでも木元は債権放棄に賛成し続け、 「他銀行が債権放棄する流れで東京中央銀行だけが放棄しないのは世間体がよくない」 や 「もしも放棄しないなら自分は辞職する」 とまで言い出し、債権を放棄すべきだと主張しました。
その捨て身の技により、債権を放棄するという方向で稟議が通過してしまいました。
ただし半沢は「帝国航空のメインバンク・開発投資銀行が債権を放棄しなかった場合は東京中央銀行も債権を放棄しない」という一文を稟議に加えてもらうことに成功しました。
解説ポイント
木元常務は開発投資銀行は債権を放棄すると確信を持っていたため、このことを気にしていませんでした。
木元がここまで債権放棄にこだわっているのには理由があります。
木元は15年前に、 箕部代議士に対して20億円という不正な融資 を行っていました。
箕部はこの20億を使って、空港建設予定の土地を事前にファミリー企業であった・舞橋ステートという会社に購入させて資金を得ていました。
解説ポイント
箕部は当時与党の議員であり、事前に空港ができる場所を把握、世間に空港建設が発表される前にその土地をファミリー企業に購入させて、莫大な利益を得ていたのです。
そして銀行との関係が表に出ないように、木元とその部下・灰谷は担保としてお金の管理をしていました。
このお金を動きを知ってた乃原が木元を脅迫していたため、木元は乃原が推し進める債権放棄に手を貸していたのです。
解説ポイント
乃原は木元と同じ小学校で、木元に苛められていたという過去があり、その意趣返しという意味もありました。
また、乃原が債権放棄を進めていた理由は、誰も成し得なかったスピード再生という実績を残すことで今後の仕事に箔をつけるためでした。
債権放棄!?
木元の不正融資をまだ知らない半沢たちに、債権放棄の回答期日がやってきてしまいます。
万事休すかと思いきや、開発投資銀行が債権放棄の拒否を発表。稟議書に「開発投資銀行が債権を放棄しなかった場合は東京中央銀行も債権を放棄しない」という一文を記載していたことで、半沢たちも債権放棄を拒否するという決断に至りました。
解説ポイント
開発投資銀行が政権放棄拒否できなかった理由は民営化を恐れていたからでした。政府に反抗することを恐れたのでしょう。
ですが、担当者である谷川幸代が奔走し銀行内をまとめあげ、民営化へ進むという道を選ぶことに成功します。
民営化が決定されたことにより、開発投資銀行が政府に従う理由がなくなったため、債権放棄も拒否することができたのです。
これに怒ったのはタスクフォースリーダーである乃原です。
乃原は木元が使えないと切り捨て、次は中野渡頭取に対して、債権放棄しないと木元と箕部の不正融資を公にすると脅迫します。
解説ポイント
東京中央銀行の債権放棄の金額は500億円です。
木元の不正融資は個人だけでなく銀行全体の問題となるため、表に出れば500億円以上の損失は間違いないでしょう。
乃原は不正発覚による500億以上の損害を取るか、債権放棄の500億円の損失をとるか、天秤にかけさせたわけです。
結末
悩みに悩みぬいた中野渡頭取は、乃原の脅迫には屈さず、本来は債権放棄の発表として用意された会見には半沢を向かわせます。
半沢は木元と箕部の不正融資に関する証拠を全部揃えていました。
会見の場で箕部啓治が空港誘致を利用して大金を得ていたこと、それを裏金にしていたこと、そしてそれらの件に東京中央銀行も関わっていたことなど全てをさらけ出します。
半沢の告発により、箕部啓治は離党。白井亜希子も大臣職を辞任することになり、タスクフォースも解散することに。
解説ポイント
政権交代によってゴタゴタしてしまった帝国航空の再建計画ですが、これによって振り出しに戻っただけというのが、恐ろしい点ですね。
唯一の救いは帝国航空は企業再生支援機構による救済が行われるという点ですが、この機構は本来中小企業向けのため、楽観はできません。
解説ポイント
ですが、帝国航空も変わり始めているという描写があったので、希望はあるようです。
木元の不正融資を重く受け止めた中野渡頭取は辞任を決意します。
まとめ
「銀翼のイカロス」は帝国航空の企業再建計画が、政権交代に振り回された結果、半沢の活躍によって政権と銀行の不正が浮き彫りになり、帝国航空の再生に関しては何も成し得なかったという結末を迎えました。
政権交代に関しては、2009年に発足された民主党政権とリンクしていると思われます。
脱官僚を掲げている点などリンクする部分が多く見られます。
また帝国航空の再建はJAL(日本航空)の再建とリンクしています。
作中では債権放棄を断固として拒否しましたが、現実ではJALの再生にあたって債権放棄が行われています。